基本原則

からだコラム「健’sNOTE」の記事をリライトしたものです。

4つの原則

息をすること、食べること、動くこと、想うこと、この4つは他の誰かに変わってもらうことはできません。
最低限、自分自身の責任で行わなければならない事です。
この4つを操体では「基本原則」と呼んでいます。

『 息(そく)・食(しょく)・動(どう)・想(そう) 』
健康な生活を送る上で、この4つの原則のバランスを心がけることは欠かすことはできません。

息(そく)

呼吸です。これは生きている間休むことなく行われています。
呼吸の基本は鼻呼吸です。
構造から考えても、呼吸は鼻で行うのが自然です。

◆呼吸の仕方

ゆったりとした呼吸を心がけましょう。
浅く早い呼吸は気持ちを高ぶらせ、交感神経を刺激します。
運動している時などは、たくさんの酸素を体内に取り入れ、体をすばやく継続的に動かせるように早い呼吸になりますが、日常生活では必要がありません。
浅く早い呼吸を長い時間継続する事は非常に疲れます。
スポーツや緊急時という限られた時間の中以外ではゆったりとした呼吸でいることが大切です。
ゆったりとした呼吸は副交感神経を刺激し、気分が落着いてきます。
眠れない時などに10回ほど腹式呼吸をすると気持ちも落ち着き、体も温まり眠りやすくなるでしょう。

食(しょく)

命を営む為にはそのエネルギーとなる食事は不可欠です。
体に必要な栄養素をバランス良く食べることが基本ですが、バランスの良い食事とは何でしょうか?

雑誌やテレビなど様々なメディアで毎日のように「これさえ食べれば大丈夫!」
「こんな症状にはこれ!」と言った内容の情報に振り回されていませんか?

◆歯をみてみよう

人にとって何をどれだけ食べるのが自然な食事なのか?
それは歯の構成を見ることで見えてきます。

動物の歯をみても、肉食の動物と草食の動物とではその歯の構成はまったく異なります。
肉食には肉食に、草食には草食に適した歯が必要な割合で並べられています。

その歯の割合を見ることで、その生き物にとって何を食べるのが自然なのかが見えてくるのです。
人間の永久歯は[前歯8本、犬歯4本、小臼歯・大臼歯をあわせて16本]合計28本です。
前歯は野菜等を噛み切る歯、犬歯は肉類を噛み切る歯、残りの臼歯は穀物・海藻・果物をすり潰す歯です。
つまり、肉を1食べたら野菜を2食べ、穀類や海藻を4食べる、1:2:4というのが人間にとって自然でバランスのとれた食事の比率と言うことが出来ます。
またたくさん噛むことによって唾液の分泌を促し、消化を助けます。

動(うごき)

動き、身体の使い方です。
誰も教えてはくれませんが、動きにも上手に使うための法則があります。
その法則に沿って動いていれば歪みにくく無理もかかりません。

その法則とは「重心の安定と移動の法則」です。
重心を安定させ、上手に移動させることで身体は自然に連動し無理なく動きます。
操体ではその法則を般若身経※にまとめています。
体の連動、体の流れを無視して筋力だけに頼った動きは体に無理がかかります。
スポーツ等に限らず、日常生活においてもこの法則を心がけることで体への負担が軽減します。

※ 般若身経とは「これさえ知っておけば幸福になれる」と言われるお経の般若心経をもじり、「これさえ知っておけば健康でいられる」からと重心安定と移動の法則をまとめたものです。

想(そう)

精神活動です。
明るくおおらかな発想を心がけましょう。そして感謝の心を持つことで、心の快へと繋がります。

自分が自分がと「我」を出していては気づかないことも、感謝の心を持つことで気づくことがたくさんあります。
人に限らず地球上の生き物全ては地球の大気のなかで生かされているのです。

生かされているのではない生きているのだ!と想われるかも知れません。
しかし、考えてみてください。魚は水の中でしか生きることは出来ないように、私達も地球の大気という環境があることによって生きていられるのです。
あまりにも当たり前の事で忘れがちですが、地球という環境のお陰で、あるいは宇宙というものの中で生かしていただいているのです。
それだけでもありがたいことだなぁと想います。
「ありがとう」と言う言葉をどのくらい使っているでしょう?
この言葉を使う時の心はどういう状態でしょう?
何に対しても素直に「ありがとう」と思える心の状態は幸せであると言えるのではないでしょうか。

環境(かんきょう)

自分だけではどうしようもないことなので、4つの原則には入れていませんが、環境も大事な要素です。
4つの原則のバランスを保っていても環境が良くないことで全てが崩れてしまいます。

家に例えると、上の4つ原則が柱なら、環境はそれを支える地面(土台)です。
柱がどんなに立派でも、下の土台が歪んでいては上の柱も倒れてしまいます。

地球的な環境から自分の身の回りの環境まで、自分だけではどうしようもない部分もありますが、変えられる環境ならば出来るだけ自分にとって快適な環境に整えることが理想です。

同時相関相補性(どうじそうかんそうほせい)

この4つの原則は同時相関相補性(どうじそうかんそうほせい)という関係で成り立っています。
お互いに関わり合い補い合っているという関係性です。
どれか一つが悪くなると他の3つがそれに引っ張られて悪くなり、逆にどれか1つが良くなれば、他の3つもそれに引っ張られて良くなってきます。

体調が悪いときは気分も落ち込み、食事が偏ると体の動きが悪くなって来たりという事を体験している人は多いと思います。
逆にこの関係性がわかっていれば、回復の仕方もわかってきます。
体調が悪くなってきたら気分が良くなることを考えたり、動きが悪いのなら食事を改善してみたりと、その悪いところも立ち直らせながら行えば効果的に回復出来ると言うことです。



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