ラジオ体操の間違い!2
からだコラム「健’sNOTE」の記事をリライトしたものです。
解説を解説
さて「ラジオ体操の間違い!」を書くにあたり「かんぽのホームページ」を参考にさせて頂きました。
ご覧になるとわかるのですが、一つ一つの動きの目的と解説が書いてあります。
その解説を読んでいると、なるほど体のことを誤解しているのだなということがわかります。
そこでここでは、その解説を解説し、どのように誤解しているのかを書いていこうと思います。
かんぽのホームページと比較しながらご覧下さい。
http://www.jp-life.japanpost.jp/aboutus/csr/radio/abt_csr_rdo_dai1.html
★印はかんぽの説明です。
ラジオ体操 第一
1,背伸びをする
★背筋を十分に伸ばして、よい運動姿勢をつくる。
まず良い姿勢についての誤解です。
胸を張り背筋を伸ばした姿勢は良い姿勢ではありません。
またこれから動きを行うのですから体をピンと固めてしまっては柔軟な動きは出来なくなってしまいます。
参照→姿勢良くしよう
2,腕を振って脚の曲げ伸ばし
★腕と脚を刺激して、全身の血行を促進する。
この解説に関しては特に問題はありません。
3,腕を回します。
★肩関節を柔軟にし、肩コリや首筋の疲れをとる。
血行をよくする目的ということでしょう。
この解説も特に問題はありません。
4,胸を反らします。
★腹部が大きく広がるので、胸の圧迫を取り除き、呼吸機能を促進させる。
目的は良いのですが、方法に問題があります。
膝を伸ばして行うとお腹の張りが強く、きつくなってしまいます。
5,体を横に曲げる
★横曲げで背骨を柔軟にする。わき腹の筋肉を伸ばすため、消化器官の働きを促進する。
横曲げで背骨を柔軟に…ここに誤解があります。
体を上半身と下半身に分けて考えているのでしょう。
上半身を動かす時は下半身は動かない方が良いと言っているように聞こえます。
ですから背骨の柔軟性という発想が生まれるのだと思います。
上半身、下半身と分けて考えてしまうと、体の中で一番の要となる腰が忘れられてしまいます。
体は全部で一つです。
従って全身で動く時には体の中心にある腰を動かさなければいけません。
短い棒と長い棒、どちらがしなやかに曲がるのか?と考えれば分かりやすいのではないでしょうか?
6,体を前後に曲げる
★腰椎部の柔軟性を高めて腰部の圧迫を除くため、腰痛予防になる。
この動きをそのまま行うと本来の目的とは全く逆の結果が得られます。
腰痛予防の為の動きが腰痛を誘発する動きになってしまうのです。
他の項目でもでてきましたが、体の柔軟性とは個々の筋肉の柔らかさではありません。
筋肉自体の柔らかさはそれ程変わらないのです。
では体が堅いと言われるのはどういう状態なのでしょうか?
一般的に体が堅いというのはスムーズに筋肉が連動していかない状態と言えるでしょう。
体の柔軟性をテストする時には膝を伸ばすのも仕方のないところですが、普段の動きにおいては膝を伸ばして動きづらくする必要など全くないのです。
体が前に倒れて行くに従ってお尻が後方へ下がり膝は曲がっていきます。
体を後に反らせる時には膝、腰が前方へでることで上半身が自然に反っていきます。
その様に体の連動を学んでいくことで腰への負担はグッと減るのです。
7,体を捻る
★胴体の主要な筋肉を伸ばし、背骨を柔軟にし、腹部の圧迫を除く。
この動きも上半身しか考えられていません。
先程も述べたように体は全部で一つなのですから下半身も同時に動かなければいけません。
下半身が動かず上半身を捻るというのは非常に腰への負担が強い動きです。
あまり捻るという意識は持たず、体の重心を左右に移しながら自然に体を振り向かせるようにすると無理が無く自然に捻れます。
8,腕を上下に伸ばす
★腕を上下に曲げ伸ばすことで、全身を緊張させ、素早さと力強さを身につける。
特に問題はないでしょう。
9,体を斜め下に曲げる
★おしりから脚の後ろ側の筋肉を伸ばし、腰の圧迫を取り除く。あわせて胸部を広げる。
ストレッチが市民権を得ているので当たり前のように思ってしまいますが、筋肉は引っ張っても伸びるモノではありません。
脚を突っ張り体を曲げる動作は腰や脚への負担が強すぎます。
膝をゆるめて腰の動きで体を倒すようにしましょう。
10,体を回す
★腰の周りの筋肉を伸ばし、背骨を柔軟にする。腰の悪いくせや圧迫を、取り除く。
また出てきましたね、背骨を柔軟にする。
ここまで読んで頂いた方はおわかりだと思います。
ここでいう腰の周りとはウエストの事のようですが、動きの中心となる腰とは骨盤(お尻)の事です。
この動きでは本当の腰周り(骨盤周辺)が全く動かないことがわかって頂けると思います。
上半身を動かすことよりも腰(骨盤)を動かすことを意識しましょう。
11,両足で跳ぶ
★脚部の筋肉を活発に動かすことで、全身の血行をよくし、体の緊張をときほぐす。
これは特に問題はないでしょう。
12,腕を振って脚の曲げ伸ばし
2番と同じです。
13,深呼吸
★呼吸を深くゆっくり行うことで、体を早く安静時の状態にもどす。
呼吸を行う際の注意は呼気(吐く息)を意識することです。
新しい空気を取り込む為には、まず今ある空気をはき出さなければいけません。
しっかりと息を吐いた場合と、吸う息を意識した場合ではどちらが自然に呼吸が整うか?ご自分の体で試してみるとよいでしょう。
さてラジオ体操の問題点が見えてきたでしょうか?
ラジオ体操を作った側の体と動きの誤解は世間一般の方にも自然と擦りこまれています。
また一般の方のみならずアスリートの中にも擦りこまれています。
ですから健康の為にはじめた体操や運動で体を壊すという現象が起きてしまうのです。
正しい体の動きを学び健康の為の体操をしていきましょう。