自力自療ってなんだ?
操体は自力自療の世界です。
「先生に治してもらう」のではなく「自分で治す」ようになることが本来の姿でしょう。
自分で治す、しかし施術者としての私がいる。
自分で治すのに、操者は何をしたらいいのか?操者なんか本当に必要なんだろうか?
整体から操体に転向した当初はずいぶんと悩んだものです。
施術は施術として行い。
それとは別に自分で治してもらうのだから一人で出来る操体のやり方を覚えてもらわなければならないと思っていました。
施術の合間や終わった後に
「こんな感じで毎日やってみて下さい」
と1つか2つの操法を教えてみたり、施術と講習両方セットでやらないとダメかなぁと思ってみたりと試行錯誤を重ねました。
しかしいつの頃からかそんな迷いは消えていきました。
当院に長く通っている方々の体が 「それ」 に気付かせてくれたのです。
もともと体には自分でバランスを回復しようとする力があります。
多くの人はその機能が鈍くなってしまっています。
その機能とは原始感覚を聞き分けるということです。
操体の施術は原始感覚を体で聞き分けて味わう事が目的です。
まさに体が自分で回復する機能そのものへ働きかけを行うのです。
そして何度も操体をしていくことで体がその機能を回復していきます。
機能を回復した体はどうなるか?
まず体は自分にとってイヤな動きや無理な動きをしなくなります。
そして無意識になんとなく体を動かして自然に調整が出来るようになっていくのです。
これこそが操体で言っている本来の体と言うことなのでしょう。
操体の型など知らなくても良いのです。
イヤなことを体が感じ、何となくモゾモゾ動いて調整してしまう。
まさに動物の体です。
型ややり方を教えなくては自力自療にならないと考えていたのは、まだまだ操体の捉え方が体操的だったと反省させられます。
頭で考えたテクニックより遙かに高度なことを体はやってしまうのです。
間に合わなくなった体を間に合う状態へ導き、本来の体へ戻っていくお手伝いをするのが私達 操者の役目なのでしょう。
そして自力自療とは何かを考えたり覚えたりと難しいことをするのではなく、実は動物本来の姿が自力自療そのものなのだと当院の常連の方々の体に教えて頂きました。