寝て行う操体
寝転んだ姿勢で行う操体をご紹介します。
床に全身を預けることが出来るので、とてもリラックスしやすい姿勢です。
膝倒し
膝倒しは操体では最もポピュラーな操法の一つです。
ストレッチ等でもよく見掛けるポーズです。
しかし、ストレッチは目的の部位を伸ばすため、他の箇所が動かないように行いますが、操体では部分的に伸ばすことはせず、体のつながりや流れを表現し、全身の動きへと波及させます。
カラダへのゆだね方や感覚の味わい方など、文章で表現するのはとても難しいものです。
ですからここで紹介するのは、初めての方でも分かり易いように簡潔に表現しています。
操法のほんの入口程度ではありますが、こんな簡単な事でもカラダは変化するんだと感じて頂ければ幸いです。
やり方
1,仰向けになり、ゆっくりと両膝を曲げます。
☆膝の角度や足の幅、腕の位置や顔の向きは、その時に一番安定するところにおきましょう。
どこにも無理がなく、楽ちんなポジションではじめます。
2,両膝をゆっくりと左右に倒してみます。
例:左へゆっくり倒します。どの辺りまで無理がなく動けるかを調べます。
どこまで倒せるかがわかったら、ゆっくりと元の位置に戻ります。
真ん中でとまり、一息ついてから右側へ倒し、動きを比べてみましょう。
3,左右の違いを確認したら、やってみたい方(※)へ両膝をゆっくりと倒していきます。
※倒してみて気持ちが良かった方、もしくは倒しやすかった方。
4,ゆっくりと両膝を倒し、お尻(腰)・背中・肩・腕・首と体の自然な流れにゆだねてみます。
どこも頑張らず、ストレッチされないように動いてみましょう。
気持ちよさを感じたら、そこで十分に味わいます。
特に気持ち良さが分からない場合は、自然に動けるところまで動いてみるだけで構いません。
5,カラダにゆだね、十分に気持ち良さを味わったら全身の力をほどきます。
全身を脱力し、床に体をゆだねてみましょう。
体の中が十分に落ち着くまで待ちます。
6,カラダが落ち着いてから、同じ動きを味わってみたい感じが残っているかカラダに聴いてみます。
もう少しやったければもう一度、カラダが「もう十分」と言っていればおしまいです。
最後に動きや感覚に変化があったか両膝を倒してチェックしてみましょう。
腰を捻るストレッチに似ていますが、ストレッチではありません。
どこかを頑張って伸ばすのではなく、全身の自然なつながりを感じてみましょう。
少し難しい表現になりますが、
「ストレッチは伸ばす」「操体は伸びていく」
そんな世界観なのです。
ここに気をつけて
- ストレッチのように「伸ばす」という意識を捨てましょう。
- 「ゆっくり」とはこれ以上遅く動けないスピードです。
- ゆっくり体が繋がって動いていくように流れを感じてみてください。
- 重要なのは動く事ではなく、感覚を味わう事。
- 回数は決めず、ご自身のカラダに聞いてみましょう。
まとめ
寝転んで行う操体は脱力後、床に溶け込んでいくような感覚が味わえると思います。
操体は体操と違います。
どうやって動くのだろう?と形を気にする必要はありません。
カラダは人それぞれ違います。また同じ人でも日によって違うのが当たり前です。
生きているカラダは常に変化しているのですから、決まった形でなく、その時のカラダの流れをゆっくりと表現してみれば良いのです。
動きのイメージは「ギューッ!」「グーッ!」ではなく、「ふわ〜」「ゆら〜」あるいは「くぅ〜」という感じです。
操法は一日の中でいつやっても構いません。やりたいなと感じたとき、それが体の自然な要求なのです。